2025年2月

2月28日(金)
亡姉の後整理中の弟が、ある都市銀行の貸金庫を開けるのに窓口で2時間待たされた挙句、次姉と私の実印もいると言われて激怒。中身は書類だけで、最近その銀行で行員が客から盗んだ金塊などあるはずもないのに。


2月27日(木)
この3日で20数人の翻訳の添削を仕上げ、横浜と新宿で授業をして、さすがに眠い。いよいよ仕事場の本を家に帰らせる算段をしなくては。家の廊下の書棚下段を埋めていたNational Geographicは百冊ほど古紙回収に出した。


2月26日(水)
横浜朝日カルチャーの入り口にある世界堂が書棚に並べて売っている本が魅力的。絵を描く上での参考書がこんなにあるの、と思う賑やかさ。『だらっとしたポーズカタログ』も面白いし、中国の伝統建築の図鑑もいいな。


2月25日(火)
ロイヤルホストで晶文社の深井さんに校正を渡す。おわった〜!夕方、診療所で血圧を測り、帰りに近所の和田さんと出会う。コートは母上のだったというグレイ系の細かなチェックで裏が冴えたエンジ色。良き日常。


2月24日(月・休)
明日の午前中に再校を渡すのだけれど、やや心配。35年前に訳したものだから、しっくりきていないところもある。でも改めて、面白かった。女のからだを人口の数合わせに使うなという詩人リッチの想いが漲っている。


2月23日(日)
仕事場に置いてあった本をまとめては宅急便で送ってくれる美礼の仕事ぶりは緻密で、ダンボールも貼るテープも物が動かないように詰める紙も全部、真っ白。勝どきの部屋にはプチプチがひと巻き、どーんと立っている。


2月22日(土)
朝食に好きな野菜を揃えられると元気が出る。ブロッコリーはスプラウトに替えた。生のそのまま、大抵は缶詰のツナと混ぜ合わせる。数日前から春のスナップエンドウが出始め、レンジで90秒。芽キャベツも見つけた。


2月21日(金)
青森で10数年ぶりに3mを越す積雪だという。3メートル! 美術館の辺りの風景を目に浮かべる。外の雪を見ながらの熱いコーヒー。あの奈良美智の沈んでから湧き上がってきたような光は、深い雪の中で集められたのだ、きっと。


2月20日(木)
『母の友』が廃刊になったという寂しい残念なニュース。明るい品のある、いい雑誌だった。でも、と思う。私もほんの一時期を除いて定期購読をしなかった。母、主婦、家庭、女性などと限定されることを好まなかった。


2月19日(水)
横浜に向かう途中、川崎の手前だろうか、強風に雲を吹き飛ばされた蒼い空のなかに、雪に覆われた富士山の頂上が浮かんでいた。綺麗。外を歩くと冷たい風は勢いがあり、からだが雲のように押される。寒中お見舞い。


2月18日(火)
小学生が一人で電車やバスに乗って通学することは、日本以外の国では極めてまれらしい。徒歩ですら校門まで大人が付き添うという。もちろん日本でも犯罪や事故がないわけはなく、十分な用心をした上でだけれども。


2月17日(月)
水野るり子さんの詩を書棚の一か所にまとめて、このひとの感性をほんとうに好きだと思う。頂いた冊子を、今、開くとどれにも短信が添えてあるのに、私の気持を伝えた記憶がなくて、もどかしい。もう亡くなられて3年。


2月16日(日)
米・トランプ大統領が就任2週間で50本以上の大統領令にサインしたという。歯止めの法律はあるとはいえ、強い実現性を持って、バイデン前大統領が決めた人種の公平性や気候変動への取り組みが却下されるのには失望。


2月15日(土)
昨日、「さくらもち」を栗入りお赤飯と共にお土産にまでいただき、重い仕事を受け取った身に最高の励ましだった。今朝、beアンケートが「好きな和菓子は?」で長いリストの後の方にお赤飯があった。和菓子だったの?


2月14日(金)
廣田家のお茶に4人の方達と共に招かれ、同じ集合住宅の同じ間取りの住居かと思う、見事に美しいお部屋で美味しいお手製のケーキや和菓子をいただく。10日後の最終校正締切に素敵な励ましとなって、さあ、がんばろう。


2月13日(木)
全日本人が姓を名乗るようになって僅か150年? しかも最初の20年、女性は結婚後も以前の姓だったという。信じられない思いで幾つかの資料を見た。確かにそういうこと。自分が現代日本の本当に入口にいた気がする。


2月12日(水)
この忙しさ! この年で! どうか切り抜けられますように。あまり、この年で、とは考えないのに、歩くのも時間がかかるようになって、それだけでも、あゝ、と思う。雨雪が降らないでいてくれるのは大きなサポート。


2月11日(火・休)
本当に日に1冊ずつ本を選ぶなんて、忙しさに拍車をかけている。その度に思い出に引きずり込まれたり、探していたことを発見したり、喜んだり悲しんだりしている。少なくとも、寂しく思うことがなくなっていた。


2月10日(月)
昨日は、椅子に背を寄せてただ青い空を見ている時間が多かった。最近の訃報がそれぞれ心を捉え、日常に戻れなかった。とくに悠樹君のこと。そして坂本節子さん、川池(福川)敦子さん。ロルカの詩「さらば」をよむ。


2月9日(日)
和菓子名手の廣田さんにバス停で声をかけてもらって一気に親しさを増し、高田郁の『みをつくし料理帖』の話になって、さっき、ふと十卷目「天の梯」をまた手に取る。何度読んでも目が潤む。これぞマイ時代小説


2月8日(土)
好きな本を見つけ出す。大西民子や大原富枝の足跡をたどる『百年の恋』も。著者の道浦母都子は昨年、新歌集を出したとか。’全共闘歌人’に私は度々共感した。「催涙ガス避けんと秘かに持ち来たるレモンが胸で不意に匂えり」


2月7日(金)
森永の「おっとっと」2袋入りを98円のセールで5箱、買った。いつもの海の仲間たちの他にトリケラトプス、ステゴサウルス、プテラドノンなど恐竜が7種類。青い小皿にサラッとのせ、ARABIAのカップで F&M の紅茶と共に。


2月6日(木)
日本列島の大方が大雪に埋もれかけているのに、東京では相変わらず真っ青な冬空をあおげる。美礼は、だから東京が首都になったのだと言う。とにかく晴れているのはありがたく、もう春すら近いように思ってしまう。


2月5日(水)
品川区がすごい。最近新聞で目にしただけでも、区立小中学校の給食は無償、給食の野菜は全て有機農産物、希望者への制服支給、一人ひとりの妊婦に専属助産師など、次々と実現させている。若い女性区長の面目躍如。


2月4日(火)
「あなた 約束したじゃない 会いたい」。この沢田知可子の歌に衝撃を受けたアメリカの若い歌手が、日本語に夢中になったという。英語では幾つもの単語を使わなければ表せないことを1、2語で言い切るのがいいという。


2月3日(月)
新藤千恵編の文庫『若い人への詩』は頁は黄ばみ表紙カバーもない。20代の私はバッグにいれて持ち歩いていた。その数年前までジュニアそれいゆで読んでいたもの。この質の高さをいまの社会はつないでいるだろうか。


2月2日(日)
新潮社から定期購読継続の払込み用紙が送られてきた。私の名前が小さく印字されてはいるが、あとは全部、膨大な数、多分100個近い数字だけ。これが電子をツールとする世界。それにしても、あと3年、私は生きてる?


2月1日(土)
1ヶ月休ませてもらった横浜クラスのスタート。帰りに勝どきに寄り、あと幾度かしか使えない部屋でパソコンに向かう。今日の1冊を選びながら、これはもうやめようかとも思う。でも自分にとって沢山の発見があるのだ。