2025年3月

3月31日(月)
いえ、今日はまだ3月。多分30代後半に読んだ Iris Murdock のペーパーバックを集めると10冊あった。持ち読みのためカバーも頁も汚い。でも読み直そうと思う。読んで捨てよう。未読の作品に移る時間は残るだろうか?


3月30日(日)
ふいに気がついた。部屋の南側斜め下ではハナミズキが枝いっぱいに濃いピンクの花を咲かせている。北側の窓の先には鮮やかに黄色いレンギョウが、真っ白のユキヤナギが。ようやく春が満ちみちてきた。明日は4月。


3月29日(土)
横浜の帰り武蔵小金井まで平尾ゆりかさんの「二人遊び展」へ。陶器作りが趣味のひとつと聞いていたものの見るのは初めて。縄文人ひとりとチェリストひとりをわが家に連れて帰った。60年前と変わらない、ゆりかさん。


3月28日(金)
この3か月、いつも時間に追われていた。大晦日から元旦にかけても細かな活字をひたすら見つめて、あっという間の3か月だった。これから自宅の廊下に2段に積んだ白い段ボールの箱から本を出してどこかに入れ直す・・


3月27日(木)
勝どきの部屋のカギにつけていたパンダがトレイの上にころんと転がっている。今日、美礼夫婦が最後の荷物を車に積み、点検とカギの返却に立ち会ってくれた。私は今週、翻訳塾が4クラス全部あるのでもうひと頑張り。


3月26日(水)
朝のバス。窓外に見える桜の木々がどれくらい花を開かせているか、立っている乗客たちの共通の関心のまと。おお、ここは満開に近いじゃないですか、ここはまだですね、でも今日の暑さで一気に咲きそうですよ・・・


3月25日(火)
しごと場を手放すこととリッチの新版が出ることとが、ぴったり重なって新しい生活が始まる感じがする。翻訳塾は明日から今週4クラス全てあって、来週から新期となる。これから、どういうペースにしていくか考えよう。


3月24日(月)
勝どきにあった私の物、娘の物が2台のトラックでそれぞれ落ち着くべき場に運ばれた。私も処理することに躊躇いがなくなって・・と思いつつ、もう一度読みたい本のなんと多いことか。もちろん、まだ読んでない本も。


3月23日(日)
明日、家具や本が届くのでスペース作りが大変。でも勝どきの部屋からの送り出しは美礼がやってくれている。最近、何かにつけて公私にわたり世代交代を実感する。うれしい。この引越しでふと身軽になる気もしている。


3月22日(土)
同好の士が日本未来科学館から、なんと「元素周期表」のジグソーパズルを買ってきて下さった。話を聞いただけでは想像がつかなかったが、300ピースで元素記号に名前、写真まで付いている。嬉しい。早くやってみたい!


3月21日(金)
勝どきの本の整理で久しぶりに遅くまで留まり、夕刻の景色の煌めきに陶然となる。上空は蒼く、下にいくほど紅紫のグラデーション、橋、銀座に続くビルの窓に窓、東京タワー、隅田川を滑っていく灯り満載の屋形船。


3月20日(木・休)
私も新宿クラス担当の佐藤瞳さんも休日出勤。都庁前駅などは閑散としていた。休日に出る時だけ事務局に駄菓子を少し差し入れする。今日は明治の新製品カカオボーテ。自分にも買おうと思っていて忘れてしまった。


3月19日(水)
天気予報で交通規制をして降ったためしのなかった雪。今朝は曇り空から突然の雪! 三月の雪。でも横浜の講座のあと、すっかり青空になり、急いで帰宅して、もっと捨てられる物があるはずという娘の叱咤に応える。


3月18日(火)
仕事場の撤収にあたって決心できた。過去24年間の翻訳塾の課題プリントは全部捨てる。ざっと800課題はある。ブログにタイトルだけは残して(目下サボリ中)、よしとしよう。好きだった課題は記憶に刻まれている。


3月17日(月)
確定申告の書類を書きおわり、税務署までバスと徒歩で提出に行く。私の場合は超赤字なので、源泉徴収された税金分を戻してもらえるという仕組みをこの数年でやっと理解できた。ナンバーカードはまだ作っていない。


3月16日(日)
昨日は悠樹くんの四十九日だった。まだ二十代だった。若い両親はどれほど辛い想いをしていることか。慰めにはならないけれど、本人はこの世での生をはじめからおわりまで見てもらえた幸せを抱えて旅立ったはず。


3月15日(土)
都営浅草線に私が乗り込むと優先席を二つ、5歳くらいの女の子たちが占めていた。でもそれぞれのお母さんに促されて二人は素直に立ち、私がお母さんにお礼を言い、二人にも、ありがとう、と言うと恥ずかしそうに頷いた。


3月14日(金)
アドリエンヌ・リッチ『女から生まれる』が復刊する。晶文社の深井美香さんが勝どきまで第1冊目を届けてくれる。涼やかなブルーとグレイが基調の表紙で、帯の文字と栞が同じ焦茶なのがうれしい。来週発売される。


3月13日(木)
いよいよ片付けに入らなくては。捨てられない本の山との格闘を始めなくては。勝どきの部屋は借りていただけだから、手放す、という言葉は当たらないにしても、定年後の26年間、私の精神面を支えてくれた場だった。


3月12日(水)
モンテーニュが課題に続けて登場した。E. ホッファーが出稼ぎ中に雪に閉じ込められて『エセー』を読んだ話の中と、アンジェラ・カーターの短編『キス』の中に「内部論理」という言葉で。16世紀の哲学者、恐るべし。


3月11日(火)
引越しのための片付けと本の出版と、あれやこれやとで、確定申告のことを完全に忘れていた。計算するべき資料は全部揃っているので、どこかで1日、心落ち着いて数字と取り組む時間を持たなくては。ちょっと憂鬱なり。


3月10日(月)
電話交換手として草分けだった方たちに話を聞き、中途半端なまま20年経ってしまった。佐久間文子さんに資料を見てもらうことにする。デニーズの窓からキラキラ光る隅田川を見ながら、改めて埋没させたくないと思う。


3月9日(日)
映画『アイリス』のパンフレットがあるのに何か強く感じた記憶がない。一体どうしたことなのだろう。2002年だったようだ。でも見つけてよかった。心底から夢中になったマードックがいたのを思い出した。よかった。


3月8日(土)
毎朝、三択のデジタルnewsQに応える。推定して答えが合うのが好きだけれど、今朝の「昨年度の日本での出生数」9年連続減で72万人は知っていた。ただ婚姻数が戦後2番目に少ないことの方が社会に希望がない証だと思う。


3月7日(金)
歯科の機械がどんどん変わる。昔のようにキーンという音もなくなって治療が痛いこともない。レントゲンや写真の機器も使われるたびに新しい気がする。口に入る時の不快さもすぐに解消されるのだろう。つがわ歯科で。


3月6日(木)
本を整理していて思う。若かりし頃、あらゆる面で考え方、感じ方、処し方をほとんど男の視点からしか示されなかった。ジャーナリズムの世界も男が切磋琢磨する場だった。その中で自然体を貫ぬこうと自分に誓った。


3月5日(水)
翻訳塾を始めた時、小野晃夫さんと加木令子さんのお二人が80歳近かった。90までは続けたかった、と通えなくなって辞める小野さんのお手紙が出てきた。「人間味あふれる御指導のもと」って私がヌケテルってことかな。


3月4日(火)
なぜか睡眠不足ぎみ。布団に入って3時間くらいで目が覚め、今まではまたすぐぐっすり眠れたのに、寝つけず、そのうち5時頃に眠るらしくて、夢を見ている半ばに現実のように思って起きると7時だったりする。それで寝不足。


3月3日(月)
晴天続きの2月が終り、途端に雨と雪の3月。季節が常識や習慣を失ったらしい。こちらも予定を変えて蟄居する。郵便を取りに1階まで降りた時の外の寒さと言ったら! 今日は雛祭りだったのに家では飾らなくなってしまった。


3月2日(日)
福田尚代というアーティストの作品をまだ見たことがなくて、ずっと憧れている。消しゴムや本に挟まれた栞がほぐされて生まれる空間を想像してみる。なおよ、という読みもいいし、幾つか見た回文の言葉は閑雅で熱い。


3月1日(土)
弥生! 私の寒中お見舞いの葉書が半分以上残っているというのに! そして今になって雪の予報を聞くのもいつものこと。今年はウールのコートを一度も着なかった。寒い日はイッセイミヤケの黒のダウンコートが登場した。