2月28日(金)
夜に「すしざんまい」に行くとカウンターで握らせている外国人の多いこと。呼び込みの店員さんも英語が滅法うまい。居酒屋がもてているし、天婦羅、お蕎麦、鍋もの、何にもまして大根おろし。日本の食べ物は最高。
2月27日(木)
ステージにすたすたと現れ、ピアノに向かい、すぐに透徹した音と空気で辺りを充たすのは高橋悠治。知る限りでは他にはジャン・マルク・ルイサダ。悠治さんのピアノ・リサイタルはとくに全体の構成が魅力的だった。
2月26日(水)
オリンピックでの金メダルはすごい。でも井上ひさしの未完作『一分ノ一』を思い出す。ニッポンの理想像だ。五輪でメダルは取れないが、いつも静かに考えていて、世界が危機に陥ったとき頼りにする公正無私の国だ。
2月25日(火)
日曜日に観たドキュメンタリー映画『ドストエフスキーと愛に生きる』でドイツ語で露文学を紹介している84歳の翻訳家ガイヤーさんは、言葉を決めるのに音で聞く大切さを力説していた。実感する。私は必ず音読する。
2月24日(月)
ソチ五輪が終わった。閉会式はロシアの文化面を華やかに演出し、感動の17日間が過ぎてよかった。すぐ隣りのウクライナで反政府デモが激化し百人近くの死傷者が出ていたのに。あの美しい都市キエフは忘れられない。
2月23日(日)
東京でも奥多摩などで未だに大雪に埋もれたまま孤立している数軒があるという。住んでいる地域での雪かきが話題になることも多い。林のり子さんは早速Pate屋のブログに書いたからと知らせてくれた。http://pateya.exblog.jp/
2月22日(土)
すこし疲れているのか体調が思わしくないのか、大事をとって家に一日中いると、いっそう身体が重くなる。出かけてしまえばよかったと考えついた時はもう夕方近く、こういう非能率的な日はあるのだろうか、誰にも。
2月21日(金)
時間がないときほど合間に家で映画をみてしまう。久しぶりの『リトル・ダンサー』(最後3秒、鳥肌になるアダム・クーパーの舞台シーン)、『黄昏』(フォンダとKヘップバーンの渋い演技)。映画館にも行きたい。
2月20日(木)
ソチ・ジャンプ団体で銅メダルを受け取るとき、葛西紀明選手は「スパシーバ」と言ったのが口の形でわかった。声は聞こえなかったけれどほかの誰にも見なかった心くばりが光っていた。記録や順位だけに一喜一憂せず。
2月19日(水)
東京でも大雪のため家に篭城するはめになった人たちがいる。物流も滞っているとか。それにしても5日や6日、手に入らなくても十分なくらい食料の備蓄がない家があるのが不思議。これまで苦労したことがないのか。
2月18日(火)
整理することが苦手。何かを手にとって、また置くべきでない場所に置く。たとえば1枚の展覧会の半券――象に本を読んできかせる少年の写真(グレゴリー・コルベール)。でももう、いいか。今はネットでも見られる。
2月17日(月)
朝日歌壇常連の松田梨子・わこ姉妹の素直な感性はいいなあ、といつも楽しみにしていて、もう何年になるのか。わこちゃんも中学生になるらしい。「新しいセーラー服を着た私家中の鏡に見せに行く」丸眼鏡のふたり。
2月16日(日)
「自由に描く!っていうより、これをマネしてごらん、って方がなぜか自由・・・」は清水ミチコさんのブログでの名言。子どもたちがムンクや写楽やピカソの作品をまねた絵の素敵なこと!駅に展示されていたそうだ。
2月15日(土)
未明にブラインドを少しあげて外を見ると、一瞬、朝かと思う明るさで、一面の雪の白さに目が覚め、そのキラキラと漲る光で本当に本を読んでみようかと思ったけれどやめて、綺麗になった気分でまたぐっすりと眠る。
2月14日(金)
冬のオリンピックでまったく理解できないのがスケルトン。子どもが好きな滑り台を難しくしたものかしら。競技場を作るのも大変そう。そういえばモーグルのこぶはどうやって作るのか。日本列島は今日もまた大雪の中。
2月13日(木)
バスの中で素敵な瞬間をみた。赤ちゃんを連れた若いお母さん同士が、ふと顔を見合わせてそれはそれは美しく微笑みあったのだ。その後は素知らぬ様子だったから知り合いではない。かたやインド人、かたや日本人。
2月12日(水)
都知事選はいつも落胆で終わるが、『文学界』で石原元知事の作家としてのインタビューを読むと、もっと文化面で腕を振るえばましだったのにと思う。ただ副知事といい今度の選挙で推した変な人といい人選がひどい。
2月11日(火)
ゆうべTVでサラ・ケイのパフォーマンス・ポエトリーを見た/聞いた。スポークンワードとも呼ばれる一種の詩の朗読で、声も表情も身振りもすばらしかった。自作の「B」と「ヒロシマ」のふたつ。字幕の訳もGOOD。
2月10日(月)
ソチ五輪のスローガンは「HOT COOL YOURS」。訳は「ホットでクール、みんなの大会」らしい・・・外国人が英語で何かを表し、それを日本語にする時カタカナに。つまらない。「熱くきめよう、この一瞬」とか。
2月9日(日)
ところでソチ五輪開会式のロシア史をたどる部分がよくできていた。あのお伽噺に出てくるようなタマネギ頭の建物、チャイコフスキーやトルストイのロシア。キエフの景色を思い出す。憧れのモスクワ発パリ行きの列車。
2月8日(土)
細かな雪が風に吹かれて舞いながらぐんぐん積もっていくのを家の中から見ながら、ソチ五輪の開会式をTVで愉しむ。日本選手のユニフォームがデザイン的にひどいと2年ごとに思う。今回はとくに最低。なぜ、なぜ?!
2月7日(金)
冬に一度は指先にひびがはいる。テープなど幾つかためした後、氣に入っているのは「ハケで塗るばんそうこうーサカムケア」。昔懐かしいセメダインと似て透明の膜をはる。そのあとスティームクリームかニベアで完璧。
2月6日(木)
どこかの店に食べに行くエッセイでは平松洋子がいい。知られない処の紹介というよりも、むしろ王道に新しい魅力を見つけ出す感覚がいい。入れ込みの座敷の様子など、この人の手にかかると今すぐでも行きたくなる。
2月5日(水)
佐村河内守作曲「交響曲第一番 HIROSHIMA」は別人の作品だった。そのCD 、私も買って聴いたけれど感動せず、どこかにいってしまった。誰が、どんな名前で作ってもいい。音がよければ。背景で聴くのがおかしい。
2月4日(火)
「たった一言で都政を動かせる」大統領並みの権限をもつ都知事の仕事を朝日新聞がまとめている。スウェーデンの国家予算に匹敵する予算をもち、号令で即座に実行チームが組まれる。清廉な政治をする人よ、出でよ。
2月3日(月)
一昨日。木場駅ホームで携帯が鳴り西葛西駅にいるという山田さんからで10分後に改札口で会い珈琲をのみバス停に向かい山田さんはバスに飛び乗り私のバスも来たという絶好調の連続。頂いたのは大好きな蕪のお漬物。
2月2日(日)
隅田川に跳ね返る光が心なしか柔らかい。春かなあ。配管掃除、ガス定期点検、消化設備確認と生活には時間をとられることが多く、ぼんやりの時間が貴重だ。でも北はまだまだ豪雪で、天氣図に雪だるまが並んでいる。
2月1日(土) 「てふてふと書くとあの、ひらひらと翅を動かして、かろやかに舞い飛ぶ蝶の感じが出るが、ちょうちょうでは地べたをのろのろ匍っている虫のようで• • •」(森茉莉『ほんものの贅沢——日本語とフランス語』から)