2025年5月

5月31日(土)
「周到な戦略と強靭な胆力を盤上に刻んだ最強の挑戦者(永瀬拓矢九段)も4勝1敗で退けた藤井聡太名人は、一段階上の強さに到達している」(今日付朝日朝刊)とつい全文写したくなる将棋の記事。棋譜をなぞりたい。


5月30日(金)
アドリエンヌ・リッチ三部作復刊の第2弾として大島かおり訳『嘘、秘密、沈黙。』が、今日発売。例の満谷マーガレットさんが解説したもの。装丁の基調が今度はピンク。読みやすくはないけれど貴重な再版だと思う。


5月29日(木)
新潮社の『波』6月号。今日が休みでよかった! 端から端まで表紙や扉も読む。筒井康隆の掌篇「チキンレース」、小川洋子の川本三郎『荷風の昭和』感(多田蔵人書評も)、太田和彦の週刊新潮『昭和の女優たち』感・・


5月28日(水)
アレクシエーヴィチがノーベル文学賞を受賞したのは2015年。2冊の代表作訳者、三浦みどりさんはその3年前に亡くなられていた。その切なさを思いつつ、『苦海浄土』を書いた石牟礼道子さんこそ、この賞に、と思う。


5月27日(火)
新刊を読むたのしさとは別に、数十年ぶりに本棚から抜いてページを繰る気持ちは冒険心のよう。本自体により、その本を読んだ時の自分に対して心の深い部分を揺さぶられることもある。本だけでなく広告ページにも。


5月26日(月)
パンプスはもう決して履かない。美礼に相談すると、もちろん捨てることに大賛成。ビルケンをどんどん買ってあげるから、と言う。バリー、ボッテガべネタ、ヨシノヤ、銀色や金色の靴も、さようなら。そして草履も。


5月25日(日)
米大使館が1970〜90年代に出した雑誌『TRENDS』が数十冊ある。依頼を受けて文化面とくに美術記事をある期間、翻訳していた。いま見ても斬新な内容だけれど、新聞も含めて膨大な量の記事がただ埋もれた気もする。


5月24日(土)
TV番組「ジョブチューン」にマルエツが魚悦の「大名サバ鮨」で1発勝負をかけるのを見る。女性の開発担当者が緊張しきった様子で説明するのが可愛い。そして見事、合格をもらう。私が好きなのは「サバの高菜巻」。


5月23日(金)
『暮しの手帖』の平野公子さんインタビュー記事を読もうと買ってくる。この日記の管理人でもある吉良幸子さんとのスナップや寄席の甲賀文字の幟の写真もよく、甲賀さんが見られたらね、などと思って一日が終わった。


5月22日(木)
よく思う。単行本が文庫になった時に新たに加わる「解説」が優れていて面白い。ある年月を経て理解が深まるからかも知れないし、いわゆる「その後」が情報の幅を広げてくれることもあるだろう。爽やかな読書の初夏に。


5月21日(水)
最近、ふとしたことからAfter Eight に再会した。50年以上昔、新米社員で、もう真夜中近く机に向かっていた時、そっと二つ、くれた先輩がいて嬉しく、こんな美味しいものがあるのかと感動した、あのミントチョコレート。


5月20日(火)
魚魯魚魯で牡蠣定食、CCでケーキと紅茶を、満谷さん、須貝さんと三人で。ジャン・モリスの本を勧めながら私は、その逝去を忘れていた・・・翻訳塾で偲び課題にも入れたのに。沢山のことが流れ流れて過ぎていく。


5月19日(月)
これを火曜日になって書いている。珍しいことだと思う。昨日の朝は4時前に起きて、いつもならもう一度眠るのに、したいことが沢山あるまま出掛ける予定がないから起きてしまい、午後からふわふわと眠い状態だった。


5月18日(日)
来日外国人が感嘆する清潔さは公衆も含めトイレについても。水洗式の普及と企業努力あっての割合最近の現象だ。今は女子トイレにナプキンの無料常備を望む声がある。とくに学校と公的建物内では当然になるといい。


5月17日(土)
雨。傘に当たる雨音が好き。バス、電車を乗り継ぎ、横浜で90分の授業、30分の談笑、また電車、バス。この6時間で雨の中を歩くのは家とバス停との往復10分ほど。あとは全て屋根の下なのは都会だから? ふと、つまらない。


5月16日(金)
初めて日本を訪れる外国の人たちはタクシーの車内の清潔さやドライバーの丁寧さに感激するらしい。ドイツの女性が写真に撮った一枚はシートの背に被せられたレース模様のカバーだった。祖母を思い出したの、と言う。


5月15日(木)
早い時間に終わり、帰りに船堀シネパルで『花まんま』をみる。鈴木亮平と有村架純演じる兄妹の「記憶の共有」の世界に心地よく浸った。烏と口がきける学者も楽しく、2005年の直木賞受賞作品が元。花まんまが綺麗。


5月14日(水)
五月らしい空、風、光。 草刈りの作業が入った後は餌を見つけやすいのか、朝、鳥たちが大勢、窓下の緑地に集まって地面を突ついている。時には2階の我が家のベランダの手摺りにヒョイととまって私と目が合ったりする。


5月13日(火)
お釈迦さまの生誕も入滅もウエサクの時。今日はその五月最初の我が蠍座の満月。朝から空に光と風が満ちていて、夜10時、南に向いた窓のちょうど前の蒼みに高く、まっすぐ見上げるところに星を払い、煌々と月、輝く。


5月12日(月)
「うさぎや」の最中とどら焼きを手に娘が力仕事にきてくれた。とにかく物を捨てさせられるが、確かに強引に言われなければ私は捨てない。箱や紙やリボンも捨てられない。でも餡と皮の匂いと口当たりが幸せだった。


5月11日(日)
登山、水泳を楽しめる人は羨ましい。近所に毎日のようにプールに行く方がいて「寒い日でも行きます。アホかと言われるけれど、プールにはアホなおじいさん、おばあさんがいっぱいいるんですよ」と言う。羨ましい。


5月10日(土)
また印パ戦争? ミサイルやドローンが地球上を飛び交い、世界の平和なんてトータルに言っていられない。日本と自分の知合いが無事でいてくれれば、と利己的に祈るしかないーーこう書いていたら「即時停戦」の号外が出た。


5月9日(金)
とびきりハンサムだった。「名曲アルバム」で『セルビアの理髪師』をバックに理髪店で髪を整えてもらっているスペイン人の男の子。軽やかなクシとハサミ捌きでさらに美しくなると、お母さんに抱きあげられた3歳位。


5月8日(木)
満谷さんから松家仁之『沈むフランシス』の文庫には単行本と変えた箇所があると聞かされ、須貝さんに頼んでくれたらしく、送られてきた。新宿から帰るなり3時間、読む。変えた所は一カ所だけは、すぐわかった。


5月7日(水)
印鑑登録証明書をもらいに、多分10年ぶりくらいに江戸川区役所に行く。支所でもいいけれど、懐かしいしバス停がすぐ前にある。私がうろうろしていると、さっと案内係がそばに来て教えてくれる。なんて親切なのかしら。


5月6日(火・休)
朝日とHerald Tribune の記事切抜き帳が出てきた。1993年後半の半年だけ。仕事用ではなく個人的なもので、数は多くないが、どれもとにかく面白い。7月20日付「音楽監督には数住岸子」で響ホール開館とか。読み耽る。


5月5日(月・休)
昨日は買い物の品が届いてから午後中ベッドで眠る。そのあと加藤幸子『私の自然ウオッチング』を読み、数回お会いしただけだけれど連絡を、と思ったら昨年の春に亡くなられていて呆然とする。2歳年上の敬愛する方。


5月4日(日)
風邪っぽい。休みの日に体調を崩すのは昔の現役時代と同じ。新宿の紀伊國屋本店でジェンダー関係のコーナーができていて、『女から生まれる』が表紙を正面にして棚に置かれているよと美礼からメッセージ。Thanks!


5月3日(土・休)
今年も新聞に『市民の意見』による全面広告「武力で平和はつくれない!」が9011人の署名で出る。自分の名前を見つけたのは、偶然。探すのは無理なくらい小さい文字なのだから。でも今回は1万人にならなかったのね・・


5月2日(金)
持つ理由のある本を書棚に収め、本当は持っていたい本を、貰って、と読んでくれそうな個々に翻訳塾で押し付けている。古紙に回した後のリサイクルの様子はバリューブックス編集者のネット記事でみて心が安らいだ。


5月1日(木)
「私は男性優位思想ある限り、女性優位論も存在すべきだと思う。それでバランスがとれるのだから。人々は、それらを知って初めて男女平等というのが、穏当で中庸的でノーマルな考え方だということに気がつく筈である。」(有吉佐和子『最後の植民地 訳者あとがき』から抜粋)