2025年6月

6月30日(月)
腰の痛みに慄いていた。救急車を呼ぶべきだったのか、とも考えた。近所に、何時でも声をかけてね、と言ってくれている方は何人かいる。でもこういう時って・・で、突然、大丈夫!と天の声が聞こえ、まずポストまで。


6月29日(日)
家でクーラーが少し寒い時、今だにノーマ・カマリの柔らかなブラウスをさらっと羽織る。50年は経って白が燻んでいる。裏にはNORMA KAMALI という四角いタグ以外、布種やサイズを示す文字など何も付いていない。


6月28日(土)
ぱくきょんみさんから電話。『而今而後』開会からのことを諸々聞く。「日曜美術館」放映、『美術手帖』のほかにも『ユリイカ』から臨時特集号が出たという。彼の激しいエネルギーを捌き、今度はきょんみさん自身ね。


6月27日(金)
ミラノのマルペンサ空港から東京の羽田空港まで13時間の直行便で娘は帰ってきた。その便名をネットで見れば離着陸は定刻通りか、どの辺りを飛んでいるかも即座にわかる。見ることもなかったけれど現代を肌で感じる。


6月26日(木)
昨日は横浜クラスで予定通りの休み、今日は私の都合で新宿クラスが休み・・でもどのクラスにも怪我や疾患で休んでいる方たちがいる。横浜の岸さんの奥様からお電話で手術がうまくいったと伺い、心底ほっとする。


6月25日(水)
今日は横浜が休みになっていてよかった。歩くのがつらく、明日の新宿を休講にしてもらう。天気予報は台風だったが、また外れて、大したことはない。熱帯低気圧と言い換えても、中心部の風速が違うだけのことなのに。


6月24日(火)
今年のSDGs 達成度発表で日本は1位後退し19位で18位以上はすべて欧州の国々。この「目標」が示されて一つの指針となること自体が地球の希望につながる。日本が最低評価をとる一つは相変わらず「ジェンダー平等」。


6月23日(月)
アメリカがイラクを空爆したーーただ恐ろしい。トランプ大統領のコメントは「成功」。ドジャースの大谷翔平は厳しい死球を受け、顔を歪めながら左手を自陣に向かって挙げ、乱闘への動きを制止して一塁に歩いた。


6月22日(日)
昨日が夏至で、今朝の日の出は4時25分。寝たままベッドの横のカーテンを手で寄せると、薄青い空の下の方が柔らかな光を帯びていて、それが広がり、広がり、すぐに白い雲となって散らばっていく。すっかり、朝。


6月21日(土)
土曜日の横浜駅構内の混みようといったら!ただ新宿や渋谷の駅も人で溢れているのかも知れない。横浜で目立つのはベビーカーに乗せた赤ちゃん連れが多いこと。なぜわざわざこんな空気の悪い所に?と思ってしまう。


6月20日(金)
3月末に仕事場を明け渡して3か月近く経つというのに、まだ本の入った段ボールに囲まれている。手をつけられないままウチザワさんの本のページなど繰り始めると、もう夜。人物像スケッチの重点の置き方がぴったり。


6月19日(木)
バスを待つ間、顔見知りの主婦と話す。あたし、掃除がだめだから午前中は買い物なの。その間に主人が風呂場まで全部、きれいにしてくれるから、あたしは美味しいものを少しずつ作るのよ。55年こうしてきたからね。


6月18日(水)
笠井久子さんから石井達朗著『高所綱渡り師たち』をいただく。最後の章がフィリップ・プティのこと。よく考えるのは、ツインタワーが消えてプティの気持ちはどうなったか。ふわっと落ちたか、それとも永遠に浮いたか。


6月17日(火)
赤紫蘇で作られた紫蘇ジュースが美味しい。熱中症の不安が吹き飛ぶ。水で割るのもいいけれど氷を入れノンアルビールで3倍に薄める。濃い赤紫のトップの澄んだピンクが爽やかな苦味を帯びている。廣田さんのお手製。


6月16日(月)
家で添削をしていると、外の木々が風に揺れて涼しげなのに暑い。なんと30度にもなっていて、予報では明日以降も数日、この高温が続く気配。クーラーを入れる。寒さより暑さに弱い私としては恐ろしい季節の始まり。


6月15日(日)
映画『国宝』を観る。楽しかった。吉田修一原作は朝刊連載時に読んだ。歌舞伎の女形二人の切磋琢磨と友情が深く描かれ映像も美しく、3時間の長さを感じない。女性群の描写が浅いと言っては李相日監督への偏見になる?


6月14日(土)
スマホにnh(全日空)国際線のフライトナンバーを打てば、定刻出発など知りたい状況の表が瞬時に現れる。なんて便利になったこと。美礼自身からも電話があり、夜1時近くにミラノに発ち、乗り換えてコペンハーゲンへ。


6月13日(金)
多分NYで買った、家用のTシャツHISTORY OF ARTは黒地に白で9人の顔のイメージと名前ーーDA VINCHは髪が肩まで、MONETは点線で池のよう、PICASO は輪郭が半分、ROTHKOは四角、WARHOLは小さな丸が6個・・


6月12日(木)
ジョージア語の購読をオンラインで始めることにした。途切れていたレベルからは、かなりアップしているけれど、初級だけをコツコツ学んでいては本を読めるようにはならない。基礎を固めつつ本の中に入っていこう。


6月11日(水)
梅雨入りしたようで、今日は雨。書きたい手紙が何通かいつも心にかかっていて、次々とそこに書き足していきながら実際には紙に留めていないため、ふと溜め息とともにこぼれてしまう。つながりを大切にしたいのに。


6月10日(火)
なおちゃんと呼んでしまう笠間直穂子さんが日本エッセイスト・クラブ賞を受賞したと新聞で見ながら、その『山影の町から』も送ってもらいながら、お礼も言わないうちに授賞式に招んでもらう。でも行けない時間で残念。


6月9日(月)
『美術手帖』の今月号は表紙から岡崎乾二郎特集。5年前の豊田市美での回顧展の後、大病を克服しての都現美での大個展は眩しかった。ぱくきょんみさんの、これで私も自分のまとめに取りかかれますという言葉を忘れるまい。


6月8日(日)
昨日の「港の見える丘公園」入り口でも、わが家のある棟近くの生垣でも、花屋の店先でも、紫陽花がぱっと目に入る季節になった。まだ咲きはじめで数は多くないけれど、艶やかな青紫に出会うと心が透き通る。水の月。


6月7日(土)
わが生地・大連に言葉と文字で触れる期待を抱き、横浜クラスの数人が同道してくれて神奈川近代文学館の『清岡卓行展ー大連、パリ「円き広場」』へ。星ケ浦という海岸の名の響きも懐かしく、あらためて詩を読もう。


6月6日(金)
駅前のロイヤルホストは、どこも大抵かなりいい具合に混んでいる。圧倒的に女性客が多いのは、その気安さゆえか。美礼はアンガスサーロインステーキサラダ、私は牡蠣とシラスのアヒージョ。軽いデザートがほしい。


6月5日(木)
リチャード・ブローティガンの短編『1/3 1/3 1/3』を横浜と新宿の毎週クラスで終わる。読み返すにつれて深く、作者の依って立つ根っこが打ち込まれるのを感じ、藤本和子いう「彼の不条理のセンス」が伝わってくる。


6月4日(水)
韓国に李在明・新大統領が3年振りの進歩系政権をもたらす。新聞ではイジェミョンと最初だけルビをふり、後は漢字のまま。読者は勝手に音読みか訓読みするだろう。いっそカナで通すほうが失礼にならないのではないか。


6月3日(火)
89歳と29歳。今朝亡くなった長嶋茂雄が姿を見せた最後の公の場が3月15日、巨人対ドジャースのプレシーズンが行われた東京ドームだったそうで、その時の大谷翔平とのツーショットがいい。野球史の年表に似合う二人。


6月2日(月)
家で「かてぃん」こと角野隼人のピアノを聴く。バッハ、ドビュッシー、坂本龍一、ストラヴィンスキー、自作・・宇宙を手繰り寄せるような空間をもつ、行儀のいい勝手気ままさがいい。星野源との「うちで踊ろう」も最高。


6月1日(日)
「シュルレアリスムはコーネルに、雑多な古物を収集する変わり者以上の人間になる術を教えてくれた。芸術をめぐる理念はあとから来たにすぎない・・・畢竟コーネルの営みは、直観の営みにほかならないのだから。」(C・シミック著、柴田元幸訳『コーネルの箱』から抜粋)