2023年10月

10月31日(火)
もっと大切に深めたかったと思う時間や出会いが沢山あって、ときに胸に迫る。阿部伸夫さんと平野新介さんとの三人ハイキングも。お二人とも、最後は数年、会わないうちに不意に、すっと、亡くなられてしまい・・・


10月30日(月)
昨日、6時には暗い帰り道でスーパーに寄ると片端から値引きシールが付いていった。30%引きのシャインマスカットの小房に手を伸ばすと「冷蔵庫でなら5日はもつよ」と隣から言われて大房にした。同年輩の男性だった。


10月29日(日)
シアターカイのマチネーで演劇詩『痕跡』を、翻訳協力の満谷マーガレットさんと。7人の詩人の新作を6人の役者が演じた。詩を文字で見ないまま受け止めることを観客としてこなせなかった感じはある。でも面白かった。


10月28日(土)
幻冬舎が益田ミリ『47都道府県 女ひとりで行ってみよう』が文庫ベストセラーで57刷(ただし2011年発売)と新聞に大広告。買って、読んで、持っているけれど、企画がいいだけで、つまらない。作者を好きだから許す。


10月27日(金)
読み直したい一冊、ペンギンの Howards End は手に取るだけで心ときめく。どこかに the unseen を the seen より高めすぎるなという30代の自分に刺さる言葉があった。吉田健一の訳を読みたいけれど、あえて読んでいない。


10月26日(木)
翻訳塾が続いていることは大きな幸せ。以前は1クラス20人くらいだったのが今は10人を限度として、それでなくとも7、8人になっている。その一人ずつと向き合う私の添削も週に30人が限度。今日は2クラスある充実の日。


10月25日(水)
眠れない状況になることはあまりなく、眠くてたまらなくなることの方が多かった。それがこのところ、眠れないでいる。これもなかなか辛い。眠れなかったら眠らなければいいと嘯いていたのは不遜だった。朝、眠い。


10月24日(火)
やっぱりグレン・ミラー。これだけ年月を経ているのに最近のどのリズムよりもメロディーよりもワクワクする。YouTube でみたインザムードを踊る男女がよくて・・・女性は緩やかなショートパンツにピンヒール。


10月23日(月)
子どもや教育や文化や医療や生活にかける予算を国が増やせないとは絶対に信じられない。税金をもっと明快に使ってほしい。今日の秋晴れのように。群生するコスモスを見にいった、あれは何時のことだった? 何処へ?


10月22日(日)
秋晴れと呼ぶにふさわしい日。暑い日々を越し、騒がしい風の気配がない、こんな日が一日でも多く続きますように。戦争、飢餓、暴力のない場にいられる幸運を思い、和気藹々と行う防災訓練に遅れて加わりながら・・


10月21日(土)
誰か公演のチケットのいい取り方を教えて。今朝は10時すぐにKAATで の1月の公演に会員資格で申し込んだのに、全席指定のうち選択が会場の一番後ろしかなかった。心ならずも久子さんにお願いした。楽しみな『魔笛』。


10月20日(金)
20年以上使っているアルフレックスのソファとオットマンはA•SOFAというシリーズで、間もなく新たなシリーズに変わるそうだ。使用している様子を撮影したいという話があったけれど、本おき場と化していて、お断り。


10月19日(木)
置き傘っていい言葉だなあと思う。英語で言うとしたら文章化して説明するか、まあ近い表現としては a spare umbrella ぐらい。これには雨が降ってきた時のために家ではない所に備えておく、という柔らかさはない。


10月18日(水)
世界は小さい。地球上で陸地が占めるのは僅か3割。そこで人間同士が殺しあうのだから単に愚かなのです。いちにのさんで武器を全部置いて、ひとが認め合い、熱帯化や天災に知と力を向けるしか生き延びる術はない。


10月17日(火)
でも昨夜はNHKで『バグダッド・カフェ』のニュー・ディレクターズ・カット版が放映されて、みるー大好きで何回目かなのに初めての感じで。ピンクと紫の夕焼け。最後は覚えていた。I’ll talk it over with Brenda で切れる。


10月16日(月)
日に1冊の本を選ぶようになって、どうしても数ページは読み返す。その分、TVを殆どみなくなった。今日の吉田健一は、こよなく文章が好きな本。言葉と言葉がびっしりと長く繋がっていき観覧車に乗っているような。


10月15日(日)
今朝の「日曜に想う」は吉田純子さんの中田喜直生誕百年に寄せた心豊かになる一文だった。私は国歌が中田喜直曲、サトウハチロー詞「ちいさい秋みつけた」のような誰もが口ずさめる歌だといいとずっと思っている。


10月14日(土)
田中優子というひと(敬称をどうしたらいいか迷って、こう書く)にもっと頻繁に社会に現れてほしい。『図書』の7月号だったかに志村ふくみさんの新刊について書かれた文もよかった。江戸文化ももっと語ってほしい。


10月13日(金)
つがわ歯科で歯の洗浄をしながら次の治療を告げられ、北診療所で定期診療を受けながらインフルエンザの予防接種は今でもいいと聞いて神業的にチュニックの下で長袖を片腕だけ抜き、コロナワクチンの予約を入れた。


10月12日(木)
将棋の藤井聡太名人が王座戦を制し21歳で史上初の八冠独占を果たした。素敵。いつも神秘的におもうのは、その場が小さな盤上であること。棋譜を見ると、いつでもどちらの側も初めの数手はごく当たり前であること。


10月11日(水)
眠い。昨日家に帰って、今日の講座で使う全てを勝どきに忘れてきたと気づいたのだった。それで今朝は7時に家を出て、2時間以上、キラキラ光る隅田川と建物が殆どなくなった築地市場跡を眺めながら添削の仕上げを。


10月10日(火)
卵サンドイッチ、チーズ、柿を持って勝どきの部屋にこもり、締切日に出稿した。おそまつな原稿だと思うので、どこに、どういうテーマで書いたのか、ここには記さない。受け取ってくれる側の方たち、ごめんなさいね。


10月9日(月•休)
朝から勝どきで原稿を書く。やっぱり書くと言う? パソコンのキーボードに指を滑らせる。鉛筆やペンで紙に書くより圧倒的に早い。ローマ字が即座に漢字や仮名になり、思考の速度に合う。そして今、これはスマホで。


10月8日(日)
忘れていたわけではなく、ずっと構想はたてていた。その依頼された原稿の締切が2日後。そして不意に、その分量が重くのしかかってきた。私の頭の中にぼんやりとあるのは500字くらいなのに目標は8000字。どうする⁉︎


10月7日(土)
土曜クラスのひとから科学博物館にある「マンモスの骨を利用した住居」復元模型の絵葉書をもらう。懐かしい。キーウの古生物博物館は無事なのだろうか。ドニエプル河畔の銀杏の葉が黄色に透き通って輝く季節。


10月6日(金)
何年か夏も冬もずっと同じシルバーのバッグを使ってきた。軽くて黒いベルトで肩にもかけられる、パリのJack Gomme の製品。娘がその新しい型を贈ってくれた。深い焦茶色がピカッと艶やかでベルトが細い。嬉しい秋!


10月5日(木)
大谷翔平選手がMLで本塁打王となった一連のニュースを新聞記事についたURコードにスマホをかざし動画で追う。「160キロの記憶」として集めた高校野球時代の相手チームの打者、その時の審判などの生の声や表情がいい。


10月4日(水)
突然の涼しさ。横浜へは泉岳寺で京急に乗り換えて二人掛けシートにゆっくり座って行く。運賃が値上がりしたことに気が付かなかった。収入は減る一方なので考えなくては。といっても仕方ない。楽しみを見つけよう。


10月3日(火)
コロナワクチンに貢献して今年のノーベル生理学•医学賞に選ばれたカタリン•カリコさんは1985年、生活費を娘のテディベアの中に隠してハンガリーからアメリカに渡り研究を続けた。日本でも基礎研究に光があたるように。


10月2日(月)
明石書店の「エリア•スタディーズ」が200巻を達成、朝日でも朝刊に全面広告が載った。地味な本も丁寧に出す出版社で絶対に衰えてほしくないから、この達成度はうれしい。でもジョージアがまだない。児島康宏先生!


10月1日(日)
江口きち「薔薇の咲く縁の家に我ありて人迎ふ日のありやあらずや」「青春のよはいはすぎて秋ふかくこの恋ごころかりそめならず」「大いなるこの寂けさや天地の時刻あやまたず夜は明けにけり」